第51回日本神経学会総会 2


 第51回日本神経学会総会2日目です。日頃お世話になっている東京都健康長寿医療センターの石井賢二先生のアミロイドPETに関する講演を拝聴しようと思ったのですが、会場が満員で入れず、モニター会場も満席、断念しました... 神経学会総会は早めに動かないとダメですね。同時に行われていた画像のセッションを聞きました。最先端の発表が多かったのですが、VSRADや3DSSPといったフリーの統計画像ソフトを使用した研究がいくつかありました。神経学会では統計画像だけ提示することが多くなっていますが、生の画像を出してほしいです。
 私はポスターでアデノシンA1受容体の加齢変化について報告しました。A2A受容体では加齢変化が観察できなかったのですが、A1は加齢により減少しました。DBSのポスターでは、non-motorの影響に関する研究が多く見られました。
 イブニングセミナーでは、慶応大学星野晴彦先生と荏原病院長尾毅彦先生による脳梗塞の抗血栓療法のディベートを聞きました。心原性脳塞栓では抗凝固療法、アテロームやラクナは抗血小板療法になります。WARSS studyはこちら。WASID studyはこちら。いずれもアスピリンの量が多いことにご注意。頭蓋内動脈狭窄例でのアスピリンとワーファリンの比較はこちら。ESPRIT studyはこちら。ACTIVE Wはこちら。心房細動例での一次予防において、CHADS2スコアでワーファリンの適応を決めることが推奨されますが、実は低リスクで本当にワーファリンが不要か、エビデンスがないようです。ACTIVE Aではアスピリン単独よりクロピドグレルとの併用の方が心原性脳塞栓の予防効果が高いことが示されましたが、ACTIVE Wと合わせると、やっぱりワーファリンに劣ります。しかし、therapeutic range(TTR)が悪い、すなわち、飲み忘れなどでコントロール不良の時期が多い人だと、ワーファリンの優位性がなくなります。この論文のコントロール不良は、効き過ぎも入っているので解釈には要注意。ワーファリンを服用しPT-INRが2.0以上なら、たとえ心原性脳塞栓になったとしても軽症で済む可能性が高くなります。冠動脈ステントが入っている心房細動例だと、アスピリン・クロピドグレル・ワーファリン三剤併用もやむなし... ワーファリンの投与方法は、初回に大量を投与し数日をおいて凝固能を測定、その結果から維持量を決定するLoading dose法と、初めから常用量に近い投与量を数日続け、凝固能をみながら維持量を決定するDaily dose法とがありますが、長尾先生は、Loading dose法は一時的に凝固能が低下しすぎるのでダメ、とのことでした。それから、PT試薬は、ISI 1.2以下。癌による凝固亢進のTrousseau syndromeはFDP高値。やっぱりdabigatranなど次世代の抗凝固療法が期待されます。

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