第107回内科学会総会

 東京国際フォーラムで開催された、第107回内科学会総会に行きました。普段専門外の講演を聴く機会は少ないですが、内科学会総会ではさまざまな分野のレビューを聴くことができます。
 会頭の小林祥泰先生は脳卒中の第一人者、会頭講演は脳卒中についてです。特に、小林先生が中心になって実施された脳卒中データバンクや、脳ドックで見つかる無症候性脳梗塞に関するお話は興味深く拝聴しました。脳卒中データバンクのデータベースは、脳ドック用データベース、脳卒中地域連携パス用データベースともリンクし、さらに電子カルテにもリンクさせる作業中とか。データベース化により、さらなるエビデンスの構築が期待できます。また、救急隊が脳卒中患者を適切な施設に搬送できるように作成した病院前ケアスケールは、脳梗塞の診断率約70%など有効に活用されているようです。
 熊本大学の小川久雄先生からは、冠攣縮性狭心症についての講演がありました。欧米に比べると日本人には多いそうです。カルシウム拮抗薬が有効なこと、薬剤溶出ステントは内皮機能障害が生じやすく、冠攣縮も起こりやすいそうです。
 名古屋大学松尾清一先生からは、ネフローゼ症候群の講演がありました。腎生検についてもregstrationがあるそうですが、糖尿病性腎症のように原因が明らかな症例ではあえて腎生検を行うことは少ないことがバイアスだそうです。浮腫には減塩とループ利尿薬、蛋白尿にはレニンアンギオテンシン系阻害薬が有効な場合があるそうです。
 ポスター会場では、新潟県立中央病院から、脳卒中地域連携パス改訂作業のweb会議の導入の試みが報告されていました。印旛脳卒中地域連携パスでもそうですが、地方では集合するにも移動時間がかかります。大人数となると会議室を確保するにも費用がかかります。web会議はさまざまな負担を軽減します。ただし、脳卒中地域連携パスの会議は「顔の見える連携を」という目的もあるので、全てをnet上で行うのは賛成できません。
 内科学会総会や国際学会も、webにしてしまえば、大変な費用が削減できますし、大人数の移動がなくなれば地球温暖化削減にも貢献できます。

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