千葉パーキンソン病フォーラム

 京成ホテルミラマーレで開催された、千葉パーキンソン病フォーラムに参加しました。
 千葉大学朝比奈正人先生からは、「パーキンソン病の自律神経障害のマネージメント」というご講演でした。パーキンソン病では起立性低血圧(約50%)や便秘(約70%)など、自律神経障害の合併が多いことが知られていますが、今回はその対処法がメインでした。まずは生活指導が大事とのことです。ご留学されていたQueen Squareでは、special nurseがいらっしゃっていて、患者指導をしてくれるようですが、日本では... ゆっくり立ち上がる・臥床をさけ夜間ベッドアップする・坐位では足を組む(すると血圧が上がる)などなど。それから悪性要因を避けること、起床時に飲水する・食事性低血圧では頻回少量投与や炭水化物を朝減少や食後のコーヒー・飲酒を避ける・排便排尿では息みを避ける・男性も坐位で排尿など。低血圧の原因薬物、例えば降圧剤・ドパミンアゴニスト・エフピーなどの使用を控える。低血圧の治療では、リズミック・メトリジン、ドプスもいいがそんなに効果がないと。食事性低血圧では、グルコバイ・ベイスンなどαグリコシターゼ阻害剤を使用。発汗過多にはカタプレス、ただし起立性低血圧に注意。大変勉強になりました。
 和歌山県立医大の三輪英人先生には、パーキンソン病におけるプラセボ効果についてご講演いただきました。パーキンソン病患者は、プラセボ効果が顕著に見られるそうです。多数の大規模試験で、プラセボ群の改善率が20〜40%!Goetzらの研究では、かなり厳密にプラセボ効果を定義して他施設共同研究を精査、プラセボ群で16%の改善を認めたそうです。年齢・性別・罹病機関・宗教などと無関係でした。胎児副腎の移植手術の研究では、[18F]FDOPA PETで集積増加があるのにも関わらず、プラセボ(シャム手術)群と実手術群で有意差なしでした。プラセボ群を増加したら、有意差がでたとか。シャム手術群でのQOL scoreの上昇は、実手術をされたと感じたからのようです。 Fuente-Fernandezらは、[11C]RAC PETを使って、プラセボ服用時のドパミン放出を確認しました。Fuente-Fernandezらは、[11C]RAC PETを使って、プラセボ服用時のドパミン放出を確認しました。Benedettiらは、STN-DBS手術中に、STN神経活動でプラセボ効果を確認しました。J NeurosciのペーパーはこちらSTN-DBSの効果を証明した有名な論文がありますが、これにもプラセボ効果が隠れていたという報告もあります。DBSの効果の4割がプラセボ!? 報酬系に関与している側坐核(nucleus accumbens)では、「飲みますよ」という刺激だけでドパミンが出るそうです。そしてさらに、背側線条体でもドパミン放出がある場合があり、これがパーキンソン病のプラセボ効果だということです。過剰なドパミン補充は報酬系に破綻を来す可能性があり、その例がドパミン調節異常(DDS)で、側坐核に過剰なドパミン放出をもたらします。

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